自動販売機で購入した時の記帳(インボイス制度)

インボイス制度では、仕入税額控除の要件として、適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書(インボイス)の保存が必要になりますが、自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の購入(3万円未満に限る)についてはその取引の性質から一定の事項を記載した帳簿のみの保存のみで仕入税額控除がみとめられます(自動販売機特例)。

帳簿に記載すべき一定の事項とは通常記載すべき事項に加え以下の事項を記載する必要があります。

(帳簿に記載すべき事項)
通常記載すべき事項 1.課税仕入れの相手方の氏名又は名称
2.課税仕入れを行った年月日
3.課税仕入れに係る資産又は役務の内容(課税仕入れが他の者から受けた軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合には、資産の内容及び軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨)
4.課税仕入れに係る支払対価の額
追加で記載が必要な事項 a.帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨
b. 仕入れの相手方の住所又は所在地

なお、上記の「仕入れの相手方の住所又は所在地」については自販機の設置者の住所や自販機の設置場所の詳細な住所までは必要はなく、たとえば「〇〇町 自販機」などの記載で足りるものと考えられています(令和5年10月現在)。

(注) 適格請求書の交付義務が免除される自動販売機特例の対象となる自動販売機や自動サービス機とは、代金の受領と資産の譲渡等が自動で行われる機械装置であって、その機械装置のみで、代金の受領と資産の譲渡等が完結するものをいいます。自動販売機による飲食料品の販売のほか、コインロッカーやコインランドリーによるサービスなど、機械装置のみにより代金の受領と資産の譲渡等が完結するものがこれに該当します。

いっぽうコンビニエンスストアやスーパーなどに設置されたセルフレジのように機械装置により単に精算が行われているだけのものなどはこれに該当せず自動販売機特例の対象とはなりませんのでご注意ください。

(具体例-自動販売機及び自動サービス機により行われる商品の購入にかかる記帳)

3月12日、会議で提供するための飲料類(ペットボトルのお茶)を会社前の自動販売機で購入した。代金は1,200円であり現金で支払った。なお自動販売機であるため領収書やインボイスなどは発行されなかった。

(帳簿)
借方 金額 貸方 金額
会議費 1,200 現金 1,200
(摘要欄) 3月12日 3万円未満の自動販売機からの購入 〇〇町自動販売機 

自動販売機・自動サービス機などからの商品の購入に際しては、インボイスの保存ができない(領収書などを受け取れない)場合であったとしても一定の事項を記載した帳簿のみの保存のみで仕入税額控除がみとめられます。

記載が必要な一定の事項とは「日付」「取引相手」「取引価格」など通常の記帳で必要とされる事項のほか「帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるいずれかの仕入れに該当する旨」「仕入れの相手方の住所又は所在地」が必要となります。

なお、本設題では追加の記載事項は摘要欄においてそれぞれ記載しております(会計ソフトなどの帳簿では日付は別途記載欄が設けられておりますが、上記設例ではスペースの関係上適用欄にまとめて記載しております)。

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