課税所得の算定の基礎(当期純利益から課税所得への計算式)
会計上の利益である当期純利益は収益から費用を差し引いて算定しますが、税務上の利益である課税所得は益金から損金を差し引いて算定します。
会計上の利益(当期純利益)=収益-費用 税務上の利益(課税所得)=益金-損金 |
法人税等の金額はこの課税所得に税率を乗じて算定しますので、税金を計算するためには必ずこの課税所得を算定する必要があります。
法人税等=課税所得×税率 |
課税所得の計算については、益金と損金をすべて集計しこれを差し引きして算定してもよいのですが、その方法では手間がかかりますので実際には会計上の利益を利用して税務上の利益を算定するという手法が取られています。
具体的には会計上の利益(当期純利益)に税務と会計上のズレを調整し税務上の利益を導き出すという計算方法がとられることになります。
会計上の利益±税務と会計とのズレ=課税所得(税務上の利益) |
税務と会計のズレには個別にはいろいろなものが含まれますが、大別すると以下の4つの種類のものに分類されます。
損金不算入 | 損金に不算入する、すなわち会計上の費用のうち税務上の損金とならないものをいいます。 税務上の損金となりませんので課税所得の計算上は加算されます。 |
損金算入 | 損金に算入する、すなわち会計上の費用にはならないが税務上の損金とはなるものをいいます。 税務上の損金となりますので課税所得の計算上は減算されます。 |
益金不算入 | 益金に不算入する、すなわち会計上の収益のうち税務上の益金とならないものをいいます。 税務上の益金となりませんので課税所得の計算上は減算されます。 |
益金算入 | 益金に算入する、すなわち会計上の収益にはならないが税務上の益金とはなるものをいいます。 税務上の益金となりますので課税所得の計算上は加算されます。 |
会計上の利益(当期純利益)から出発し、上記の4つのズレを調整し税務上の利益(課税所得)する場合は、会計上の利益に加算項目(損金不算入と益金算入)をプラスし、減算項目(損金算入と益金不算入)をマイナスすることになります。
会計上の利益(当期純利益)+損金不算入+益金算入-損金算入-益金不算入=税務上の利益(課税所得) |
(具体例-課税所得の算定の基礎)
以下の資料より、課税所得を算定しなさい。
(資料) 税引き前当期純利益:10,000円 損金不算入項目の合計:3,000円 益金算入項目の合計:1,000円 損金算入項目の合計:4,000円 益金不算入項目の合計:2,000円 |
(解答)
10,000円(税前利益)+3,000円(損金不算入)+1,000円(益金算入)-4,000円(損金算入)-2,000円(益金不算入)=8,000円(課税所得)
会計上の利益である当期純利益から税務上の利益である課税所得を算定する方法は、会計上の利益である当期純利益に会計上と税務上のズレである4つの項目(損金不算入・益金算入・損金算入・益金不算入)を加減調整し、課税所得を導き出します。
なおこの際、当期純利益に損金不算入と益金算入は加算し、損金算入と益金不算入は減算するという点が重要となりますので、なぜこの項目を加算あるいは減算するのかも含めて押さえておいてください。
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